巫女さんを出そう

 −幻想郷と言う世界はZUNさんのなかでどのように構成されてきたのでしょう?
ZUN:
幻想郷自体は結構昔からゲーム関係なく妄想していたからねえ。
今って結構巫女さんってポピュラーじゃない、最初作ったときは巫女さんってジャンル自体が存在してなくて、凄くマイナーだったし。
当時、ゲームのキャラクターにいることも有ったけど数は少ないし、ましてや主人公になるなんてことは無かった。
そこで、ある日「巫女さんゲームを作らないといけないな〜」と唐突に思ったりして……(笑)
でもその後巫女さんが結構メジャーになっていった。ちょっと淋しい。

幻想郷自体は、無くなった自然とか日本の伝統的なものが無くなっていくのは悲しいな〜、
っていう真面目な考えはあんまり無くて(笑)。
まぁ今は結構そういう考えも少なくないけど。 最初は和風なものが大好きで、和風にしようと。
和風って言うと僕の頭の中では江戸っ子みたいな感じが強くて、それはちょっと違うな、と感じて……

それなら東方風なものにしようと。
で、イメージを「東方」に決定して……それで「東方」にしたんだから西洋風なものも出そうと言う、このひねくれた性格が出てきて(笑
「東方」ってあるから東方風なものに拘る必要が無くなって、名前さえ付けてしまえば後は自由になるなって。
そんな感じかな?


 −何歳ころからそういった世界観は出来ていましたか?
ZUN:
高校生のとき・・・っていうとその頃からダメな人間みたいだけど。
そのときに色々考えてて、まあ曲は趣味で作っていたんですが……
イメージで「こういう曲で、こういうゲーム」って言うのを漠然と考えてた。

そのとき流行ってたゲームに似せて作ったりとかして。そのときはストUが流行りに流行っていたから……
こういう世界でこういう曲で格闘も面白そう、とか妄想したりね。
で、大学に入ってゲームの曲を作りたいな、と思った。

さてどうしようと思って、とりあえずゲーム創る非公認サークルがあったので、そこに入ったんですよ。
それまでパソコンすら持ってなかったんで、それでパソコンも買って……、プログラムの勉強して……、
曲創るつもりが、プログラムも仕方なく自分で作ってたりして……。それで今に至るんですよね。

ちなみに、格闘ゲームが流行るずっと前からSTGが好きで、高校卒業の頃からストUブームも下火になってきてて、
その結果、大学に入ったときはSTG熱が復活してきたんですよ。レイフォースの所為かな?

今、結構STGってそれなりに流行ってるじゃない、こんなに流行るとは思ってもいなかった。
あの時代はひどかったもんねぇ。ゲーム余り出ないし、出てもやる人もいない。そりゃだってストU面白いんだもん(笑)
別にその頃はそれが自然だったし、対戦格闘に比べると実際にSTGが面白く感じられなかった、かな?



 −以前「自分が東方Projectの一番のファンである」と仰っていましたが、
  東方Project、或いは幻想郷の何に惹かれているのでしょう?
ZUN:
凄く最適化されたソースコード(笑)
ソースのコメントに自分しか分からないようなものを載せたり。
ゲーム作ってる人はソースに遊び心を入れてみたりするよね。その遊び心がゲームの面白さにも繋がっていると思う。
まぁ半分くらい冗談なんだけど。

実際は東方のキャラクターが大好きで。なんかどっか真面目なんだけど頭悪いような。ふざけてるけど真面目だったり、
一生懸命じゃなかったりするところが良いよね。そんな事言うと僕がかなり変な人みたいだけど(笑)
普通のゲーム遊んでて必死になっている主人公を見たりすると、実は結構哀れに見えちゃうんだよね。
ひねくれてるみたいですけど(笑)


 −敵キャラでもエンディングでは仲良くなっていますが?
ZUN:
ああ、あれは多分最初から仲いいよ(笑
ラスボス倒してからエンディングまで若干間があるから、その間に何かあったんだろうね。

 −何かあったんですか?
そこはほら、いろいろと妄想を。
ラスボスとの会話はどこ言ったんだ!というくらい関係ない会話がエンディングで流れたり。
まともにゲームやろうと思ってプレイした人は面食らうだろうね(笑)
こいつを倒してどうなるんだろう、と思ったらあんなまったりしたエンディングで……
今作ってる「萃夢想」のシナリオも同じような感じになるかも。
シナリオ進めても、エンディングでは関係ないのが流れたり(笑)


 −キャラの裏話とか裏設定とかありますか?
ZUN:
裏設定っていうか・・・設定自体に裏表は無いんだけど。
どこまで公開したかすらよく覚えてなくて。身内だけで言ってるのとかあったり。
頭の中で常識だと思ってても皆には広まってないのがよくある話なんだけど(笑

設定資料とか出すのは好きじゃないんだよね。
僕の考えでは、設定が先にあってから話を作るってのはおかしいんじゃないかなと思うんだよね。
世の中は、先に事象があってそこに設定が生まれるんだと思う。
だから、作品を順に見ていく事で設定が生まれていくのが正しいんじゃないかなと。
あ、そうすると(東方では)STGで出てこない設定が出てこなくなっちゃうね(笑)

 −「香霖堂」は?
ZUN:
それをカバーする形で。
「香霖堂」は主人公がちょっと癖の強い変わったヤツなんで、本人がなかなか説明してくれない。
普通の小説と違って「香霖堂」自体が全部主人公の霖之助の1人称で進んでいるから、主人公が考えないことは出てこないし…… 霖之助が勘違いしていたらそのまま話が進んでしまう。
だから何が正しいのか分からなくなるよね。まぁ僕はそういうのが好きなんだけど。
全てを知っている神の視点は存在しない。あ、エンディングでナレーションがあるけど、あれは遊んでいる人の妄想と言うことで。


 −ではエンディングすらもオフィシャルじゃない、とか?
ZUN:
いや、オフィシャルなんだけど(笑
そんな細かい設定より幸せそうだな〜っていう雰囲気だけ感じて貰えればいいかなと。
でも、よくそれで2次創作できるよね(笑) 二次創作には設定がないと始まらないかと思っていた。
年齢すら出ていないし。一応色々決めてあるけど最初に決めたときから何回も戦っているしねえ。
律儀に歳取ってるとしたら結構な歳になるよなぁ。その辺はサザエさんみたいに(会場笑)


 −幻想郷の妖怪たちは血が通っているようですが、それはZUNさんの妖怪のイメージなのでしょうか?
ZUN:
それは妖怪だって生きてるから。幽霊だって結構生きてるようなもんだし(笑)
どんなゲームだって必ずミステリアスなキャラってのがあって……例えばあんまりしゃべらないキャラとか。
でも、僕は人形みたいな子供はあんまり好きじゃないんですよ。
それは個人的な好みでもあるし、まぁ実際弾幕には合わないでしょ。
ちょっと楽しみながら撃って楽しみながら避けて、楽しみながらやられていく位のキャラの方がゲームに合うかなって。

同じことは妖怪にも言えるけど、妖怪ならではの発想ってのがぽんと出てくるような人は、ちょっと特殊な人ですね。
僕の考えで弾幕をやりそうなキャラ達が集まってる、ただそれだけ。
ちゃんとした妖怪もいるし──ちゃんとした妖怪?──まぁちゃんとした常識人もいる。
ゲームにいるキャラは、そういうキャラじゃない人達が集まってるだけだから。

いろんなゲームって、いろんなキャラクターが出てくるよね。って、何のゲームを想定しろって言ってるんだろう?(笑)
ゲームでいろんなキャラクターが出ると、普通は被らないようにキャラクターを分けるよね。
冷静に考えるとそんなキャラクターが被ってない人達が集まるわけがないと思う。
普通は似たような分子が集まる。(会場を見回して)ここに来てる人たちみたいに(場内笑)
そういう意味では、集まってる人が同じような性格と言うことが多く、そういうメンバーで話を続けていくのは自然だと思うんだよね。
まぁ作品としては面白くないかもしれないけど……。根本的にはそんな考え方。

僕は正直……、まぁこれは実名出すとアレだけど、STGで人が飛んでるSTGがあるでしょ?(場内笑)
それにキャラ達が凄く真面目に話しあって、世界の危機がどうのこうのとか

 −凄い危機的な状況ですよね
ZUN:
そう。それだけでいきなり戦っている。弾幕で。
凄い釣り合いが取れてないなあと思うんだよね。
実は戦闘機でも結構釣り合いが取れないと思っていて……
なんだかんだで戦闘機は弾幕に向いてないんじゃないかなと。
実在の戦闘機にはあんなわけわからない遅い弾出したりしないし、やっぱりイメージのしようがない。

 −実在はミサイルですからね。
ZUN:
だから、昔のSTGって戦車が走って砲弾打ってるでしょ?
あれは理由がわかる、戦車だから砲弾。砲弾が飛ぶんだ。何一つ不思議はない。
でも、よくわからないけど戦闘機のような何かだったり、実際にいそうな戦闘機がバラバラって、
得体の知れない弾の様なものをばらまく。何で出来ているのか不明な弾幕で。

それって、ゲームとして弾幕である意味があるのかなあって思っちゃうんですよね。
下手したら、絵が無くなって記号でも同じゲームになってしまうのかなぁ、とか考えてしまう。
逆に言えば、ゲーム自体がSTGのおまけか、それ以下に貶められている気がして萎えてしまうんですよ。
あくまで弾幕の為にゲームがあって、それと同時に、弾幕自体もゲームの為にあって欲しいかなと。

普通に弾幕を出してもおかしくないキャラクター達が集まって、みんなで一斉にわいわいやってる、
勝っても負けても実はそんなに危機は訪れない、そんな感じが好みだったりします。
その割にはキャラ達は中々どうして真剣だけどね(笑)

 ―幻想郷住の住人はみな、あんな風に弾幕を撃ってるのですか?
ZUN:
そうではない。さっきも言ったけどあそこは(東方の作品には)そういう人たちが集まってるだけだから。
あとは普通の人もいる。普通って言っても、こっちとはちょっと違うけど。向こうにも普通の人はいる。



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